最近の研究では「難聴」が認知症の要因になると言われていることもあり、補聴器の需要が年々増加してきています。
そのため、街では補聴器販売店があちこちに出店していますね。
新聞の折り込み広告や通信販売の広告など、毎日のように補聴器や集音器を目にするようになりました。
しかし、補聴器はいったいどのように購入したら良いのか初めての人には分かりづらいのではないでしょうか。
評判のよい補聴器店とは?
補聴器を購入しようと思ったとき、まず最初にみなさんが思い浮かべるところはどこでしょうか?
TV通販、新聞紙面にでている通販、家電量販店、メガネ店などが多いかもしれませんね。
それぞれの販売チャネルにメリットやデメリットがあると思いますので、詳しく解説していきます。
通信販売
TVや新聞の通販、amazonや家電量販店などの通販で多くの補聴器・集音器が売られています。
メリット
- とにかく安い(両耳で数千円~10万円未満)
デメリット
- 聴力に合わせた詳細な調整が不可能
- 基本的に軽度難聴向けなので、中等度難聴以上だと合わない場合が多い
- 音量を上げると会話以外の雑音が大きすぎて疲れる
通販で売られているものは、「安い」以外のメリットはないと考えていいでしょう。
集音器などでは、かえって聴力低下を引き起こす危険もありますのでお勧めできません。
メガネ店
最近ではメガネ店のほとんどが補聴器を扱っています。
メリット
- ショッピングモールなどに出店しているので気軽に行くことが可能
- 割引販売されている事が多い
- 店舗が多く、引っ越ししても安心
デメリット
- 周囲が騒がしく、測定結果に影響が出やすい
- 認定技能資格を持った担当者がいない場合も
- 担当者が変わりやすい
- 補聴器経験の浅い担当者が多い
メガネ店でも認定補聴器技能者を多く配置して、しっかりやっている販売店が増えてきました。
しかし一方で経験の浅い担当者も多く存在し、症状に対して機種が合っていなかったり、調整技術が未熟だったりということが散見されます。
出張相談会
農協や公民館などの会場に日時を決めて出張してくる業者、もしくは自宅までの出張による販売
メリット
- 自宅まで来てくれるので楽
デメリット
- 調整依頼にすぐ対応できないことがある
- 担当者が変わりやすい
- 認定技能資格を持った担当者が少ない
出張販売スタイルですと、移動時間がかかりますので、どうしても購入見込み客を優先せざるを得ず、購入後のアフターケアでの訪問は少なくなりがちかもしれません。
販売員は歩合制の給料であることが多く、販売しないと収入が上がらないので、アフターケアよりは販売を優先しがち。
独立系の認定補聴器専門店
補聴器を専門に扱う販売店にも何種類かの店が存在します。
認定補聴器専門店と呼ばれる「第三者機関の認証を受けた」専門店を選ぶことが大切です。
その中でも、独立系専門店とチェーン店が存在します。まずは独立系専門店から
メリット
- 医療機関との連携があるので信頼度が高い
- 測定や調整のための専門的機器が揃っている
- 認定技能者が必ず担当してくれる
- 調整技術が比較的高い(そうでないと独立店舗として成立しない)
- 担当者がほぼ変わらない
- 取り扱いメーカーが多く、さらにメーカーに忖度なく相談者に合う機種、メーカーを提案できる
デメリット
- 割引販売は少ない(ゼロではない)
- 気軽に立ち寄れる雰囲気ではないかも
- 系列店はないか、少ないので近い将来引っ越し予定があるなら検討が必要
チェーン展開の認定補聴器専門店
ここで言うチェーン展開の専門店とは全国数十から100店などと大規模に展開している専門店のこと
メリット
- 店舗数が多く、引っ越し予定があっても安心
- 認定技能者がほとんどの店で在籍している
- 医療機関と連携できている
- 専門的設備が整っている
デメリット
- 割引販売は、やはり少ない
- 特定メーカーもしくはグループ企業が出資しているので、そのメーカーの販売に偏りがち
- 担当者が変わりやすい
- 経験の浅い担当者も多く、店によって当たりハズレが出てくる
大量出店している補聴器専門店は、その数の多さゆえに人材確保が一番のネックになります。昨今の働き手不足で優秀な人材確保はとても困難な状況かと思います。
経験値がどの程度なのか、お客さんには知るすべもなく良い担当者にめぐり会えるか「賭け」になってしまいます。
おすすめの補聴器店の結論
まずは、認定補聴器専門店であることが大前提となります。
第三者機関に認められ、医療機関との連携が取れていることが「認定基準」となりますので、それだけで信頼度が格段に違います。
そのうえで、おすすめできる補聴器店はやはり特定のメーカーのグループ企業ではない「独立系の補聴器専門店」となります。
補聴器は比較的高額な機器であると同時に、非常に専門性が高く、機種やメーカーの選定、調整に至るまで高度な技術と経験値を必要とします。
単純に価格や店の規模だけで判断すると、「買ったはいいけれど使わない補聴器」になってしまいがちですのでお気を付けください。
この記事は私が書きました
一寸木(イチズキ)国博 認定補聴器専門店 補聴器プラザ小田原 代表
経歴
1999年より補聴器販売に従事
大手補聴器専門店チェーンの店長からパナソニックの補聴器部門へ転職、主に関東地域のメガネ店や補聴器専門店を担当し、補聴器の販売方法や調整方法などについての講義を担当することも多数。
全国の様々な補聴器販売現場をみてきた経験から、当事者目線に寄り添える専門店を目指し独立。
2017年より現職 現在手話通訳資格取得を目指し奮闘中
保有資格 認定補聴器技能者 医療機器賃貸・販売管理者