実耳測定の大切さがわかる例

 

 

こちらの画像は補聴器の調整画面の一部になります。

補聴器の出力を周波数と入力音量ごとに表した周波数特性ですが、一部分だけ山のような形に突出していることが見て取れます。

 

これは決して下手くそな調整を揶揄する目的でアップしたものではありません、私自身が調整したものになります。

もし、この補聴器装用者が他の店へ行ってそこの店員がこの調整を目にしたら・・・

おそらくは「何だこのヘンテコな調整は・・下手くそか!」と思うかもしれません。

 

しかし、当然この調整には理由があります。

次の画像は、この補聴器装用者の耳の音響特性を計測したものになります。

裸耳利得とも呼ばれ、耳道の音の響き方を表します。

通常はこのようになだらかに右肩上がりとなり、3kHz付近にピークができます。

 

しかし、今回のケースでは1~2kHz付近に大きなディップができており、この周波数帯域が減衰してしまうことが見て取れます。

この方は両耳とも手術歴あり、通常とは異なる音響特性をしているため、通常通りの補聴器フィッティングでは満足のいく結果につながりにくい状態です。

 

さて、最初の調整グラフでは大きな山ができるグラフになっていましたが、耳道にマイクを挿入し実耳測定した結果のグラフはどうなるかと言うと・・・

 

このように突出した山ができることはなく、滑らかな特性となります。

 

パソコンのフィッティング画面を見ているだけの調整では分からないことです。

実耳測定なしで調整していたら、実際の耳の中の特性では大きな凹みが出来ていたはずです。

今回はかなり特殊な例ではありますが、誰であっても自身の耳の音響特性に合わせた調整をすることには大きなメリットがありますので、実耳測定技術のある専門店を選択することを強くお勧めいたします。

この記事は私が書きました

一寸木(イチズキ)国博 認定補聴器専門店 補聴器プラザ小田原 代表

 

経歴

1999年より補聴器販売に従事

大手補聴器専門店チェーンの店長からパナソニックの補聴器部門へ転職、主に関東地域のメガネ店や補聴器専門店を担当し、補聴器の販売方法や調整方法などについての講義を担当することも多数。

全国の様々な補聴器販売現場をみてきた経験から、当事者目線に寄り添える専門店を目指し独立。

2017年より現職 現在手話通訳資格取得を目指し奮闘中

 

保有資格 認定補聴器技能者 医療機器賃貸・販売管理者