補聴器の価格による違いとは?

補聴器の価格の違いは様々な音声処理能力の違いになります。

必ずしも形が小さいから高いとか、見た目がオシャレだから高くなるというものではありません。


補聴器の価格帯別 性能早わかり表

 

   エコノミー ベーシック スタンダード ハイグレード プレミアム
 片耳9~13万

片耳15~20万

片耳25~30万 片耳40~50万 片耳60~70万
雑音抑制

★★

★★★ ★★★★ ★★★★★
突発音抑制 ×

★★ ★★★ ★★★★★
会話自動追尾 ×

★★

★★★ ★★★★ ★★★★★
反響音抑制 ×

×

× ★★ ★★★★
風雑音抑制 ×

★★

★★★ ★★★★ ★★★★★
動き検知 ×

×

★★ ★★★★★
人工知能搭載 ×

×

★★★ ★★★★ ★★★★★
充電式対応 1部あり

あり

あり あり あり

補聴器の各機能について解説


雑音抑制

主に機械騒音、交通騒音のような定常騒音と呼ばれる会話音声以外の雑音を会話から分離して抑制する機能です。

グレードが上がるほど、会話音声を下げることなく雑音を抑制できるようになります。

突発音抑制

瞬間的に鳴る音、衝撃音を抑える機能。

単純な雑音抑制と違い、瞬間的に入ってくる衝撃音を抑えるのはかなり困難なものです。

車のドアが閉まる音、食器がカチャカチャいう音などもこれに当てはまります。

会話音声を損ねることなく突発的な音を抑える機能はグレードの高い補聴器にしかありません。



会話自動追尾

どこから話しかけられているか、正確に判断して指向性マイクが音声を拾う角度を自動調整する機能です。

反響音抑制

広い部屋や講演会場などで、特にマイクを使って話しているような場面だと音声が反響してしまい聞き取りづらくなります。

グレードの高い補聴器だと、このような壁に反射して響く音声を抑制する機能が備わっています。



風雑音抑制

風の音をマイクが拾うと、ゴー…バリバリ…といった雑音が入ってしまい、不快に感じることがあります。この雑音をどれだけ抑えられるかはグレードによって変わってきます。

動き検知

これはモーションセンサーです。補聴器をつけている人の動きを検知して、音声を拾う角度や範囲を自動調整し、どの位置から話しかけられているかを判断して会話の聞き取りを助ける機能です。安いグレードのものにはない機能になります。



人工知能 AI

最近ではAI人工知能を搭載した補聴器が出てきています。

周囲の環境を認識して、既に学習した様々な状況から最適な調整を導き出して補聴器が「自分で考えて」調整をしてくれます。

状況に応じた調整が自動で行われます。

充電式

もはや充電式はスタンダードになりつつあります。出始めたころは15時間程度しかもたないものもありましたが、最近では50時間程度連続して使えるものも出てきています。



難聴がより進行したら高いものでないとダメなのか?

このような質問をいただくことがありますが、答えは「NO」です。

難聴が進んでしまったから高いものにしないとダメということはありません。

どのグレードにするべきなのかは、ご自身の予算で考えてください。

ただ、購入する補聴器のグレードによって出来ること、出来ないことがあります。

外出する機会が多い、まだまだ旅行なども楽しみたいアクティブな方は、上のグレードを購入するのも良いでしょう。「そこまで騒がしい環境へは出ていかないよ」という方はベーシック~エコノミークラスでもよいでしょう。それでも集音器と比較したら断然快適です。


この記事は私が書きました

一寸木(イチズキ)国博 認定補聴器専門店 補聴器プラザ小田原 代表

 

経歴

1999年より補聴器販売に従事

大手補聴器専門店チェーンの店長からパナソニックの補聴器部門へ転職、主に関東地域のメガネ店や補聴器専門店を担当し、補聴器の販売方法や調整方法などについての講義を担当することも多数。

全国の様々な補聴器販売現場をみてきた経験から、当事者目線に寄り添える専門店を目指し独立。

2017年より現職 現在手話通訳資格取得を目指し奮闘中

 

保有資格 認定補聴器技能者 医療機器賃貸・販売管理者