聴力が低下してから、音楽も楽しめなくなってしまったという声をよく聞きます。
確かに、音が調子外れに聞こえてしまうなどの場合は補聴器をつけても音楽を楽しむことは難しいかも知れません。
しかし、補聴器を外して音楽プレーヤーのボリュームを上げたらそこそこ聞こえる、しかし補聴器をつけて聴くと調子外れだったりして"気持ち悪い"きこえ方になってしまう・・などと言ったケースでは、補聴器の設定に問題があるかも知れません。
そもそも、補聴器の最大の役割は"会話を聞き取ること"になります。
会話音声を際立たせるために、それに必要のない音はなるべく抑制しようとします。
音楽も例外ではなく、会話の聞き取りを邪魔する"雑音"と判断して抑制をかけてしまう事があります。
周囲が騒がしければ、自動的に指向性マイクに切り替わってしまうことも・・・。
さらには、補聴器にはピーピーと音漏れする"ハウリング"音を抑制する機能がありますが、例えばバイオリンの音だったり、ソプラノの伸びの良い歌声だったりなどを、このハウリング音と判断してしまう"誤検知"が起こり、それらを抑制してしまうかもしれません。
このように会話を聞き取りやすくするための様々な工夫が、音楽を純粋に楽しむ妨げとなっていることが考えられます。
では、補聴器で音楽を楽しむことは諦めるべきなのか?
完全な解決策とはなりませんが、ある程度の改善を図ることは可能です。
まずひとつは、補聴器のメモリー(もしくはプログラム)切り替えと呼ばれる機能を使う事。
最近の補聴器はだいたいこの機能を持っています。
音の調整を何種類か作っておいて、その場に応じて切り変えて使用します。
補聴器本体のボタン操作だったり、リモコンやスマホのアプリなどを使用して切り替えられるものもあります。
もうひとつは、Bluetoothによるストリーミング技術を利用するもの。
ブルートゥース機能を搭載した補聴器は、近年とても種類が増えつつあります。
携帯電話の通話、TV視聴時に音声をワイアレスで耳に届けてくれます。
音楽プレーヤーやスマートホンと補聴器をワイアレスで接続すれば、雑音の入らない状態で音楽を楽しめるだけでなく、そのような補聴器では当然音楽ストリーミング時には、音楽専用の音声出力設定にすることができます。
音楽をダイナミックに楽しむための設定は、通常使用では音が入りすぎて疲れてしまうかもしれません。
通常の設定と、音楽鑑賞用の設定を切り替えて使って頂くのが理想的でしょう。