皆さんはご自分の耳の音響特性を知っていますか?
音響特性?・・・何のことかと思われますよね。
極端な例ですが、吹奏楽の楽器を思い出してください。
トロンボーンとトランペットでは、管の長さ、太さ、カーブが違いますよね?
なので当然、出てくる音色も全く異なるものになります。
人間の耳はここまで極端ではないですが、各個人で太さ、長さ、カーブが異なります。
例えば同じトランペットでも、微妙に管の長さを調整することでチューニングを変えることができます。
最初の画像にあるグラフは、私の左耳の音響特性になります。
ここでは左のグラフのみですが、左右でも微妙に違いがありました。
3k~4kHz付近で感度が上がっている事が見て取れます。
※鏡を見ながら自分で極細マイクを耳道奥へ挿入したので、少々精確さに欠けますが・・
ヒトの耳は、だいたい平均的に3k~4kHz付近が一番感度が高くなっていますが、その特性は人それぞれ違ってきます。
耳穴式補聴器を使用する場合など、この自身の耳の音響特性が失われてしまうので、それを考慮した調整にしなければなりません。
補聴器を調整するに当たっては、どのメーカーの補聴器も「平均値」をシミュレートして行われています。
そして、調整された補聴器が実際に正しい音響特性になっているかは、耳の容積をコピーした2ccカプラーと呼ばれるツールに補聴器を接続して出力を測定します。
このような機器、「補聴器出力特性測定器」と呼ばれる物です。
しかし、これもあくまでシミュレーションでしかありません。
実際には、ここで測定した出力よりも過大音が鼓膜に届いている可能性も大いにあり得ます。
このシミュレーション機器すらなく、メーカー推奨の平均値だけでPCのボタンを数回押すだけで補聴器調整を終わらせてしまう店も非常に多く存在します。
当店では、この出力特性測定器はもちろん完備しておりますが、さらに一歩踏み込んだサービスを開始します。
それが、「実耳測定」と呼ばれるもの。
最初の画像にあるような、各個人の耳の音響特性を測定したうえで補聴器を調整し、さらに耳の容積を再現した「カプラー」ではなく、実際に使用する方の耳で補聴器の出力特性を実測します。
こうすることで、本当に各個人に適合した調整が実現できると同時に、鼓膜面上で必要以上の過大音が出力されていないか、実際に測定して確認することができるのです。
このような形で、補聴器を実際に装着した状態で出力特性を測ります。
目の前のスピーカーからスピーチ信号を出力し、鼓膜面上での補聴器出力が計測されるわけです。
非常に手間のかかる方法ですが、これを実施することで間違いなくユーザー満足度は向上するものと確信しています。
補聴器の普及率や満足度が日本と比較して非常に高い欧米地域ではスタンダードとなっているこの手法。
日本国内で実施している施設は非常に少ないのが現状。
このブログを読んでいる補聴器を使用している皆さんでも、この測定をされた方はほとんどいないのではないでしょうか。
さて、皆さんはこの技術を導入したひと手間かかる補聴器調整と、素人販売員がPCのボタン押すだけの調整、どちらの販売店で補聴器を購入するべきか・・・よくお考えください!