補聴器の使用は、周囲の理解も必要

 

 

 

 

 

初めて補聴器を使用する方が、最初の1ヶ月程度で諦めてしまうケースを見るたびに、大変残念な気持ちになります。

 

 

 

補聴器屋だから、売れなかったら残念なのは当たり前、と思われるかもしれませんが、そんなに単純なものでもありません。

 

自身の力不足から、しっかりご理解頂けなかったことが残念でならない。

 

 

 

補聴器をつけても聞き取れない場面がいくつかあった。

 

価格が高いから。

 

今はまだ使わなくても、何とかなっている。

 

 

 

このような理由から、使う事を断念してしまうケースが多々あります。

 

 

 

しかし、軽度の難聴であっても放置期間が長くなれば、それだけ聴覚への刺激は減少したままになり、ひいては脳への刺激が減少することになります。

 

 

 

本当に補聴器がなければ、静かな室内の1対1の会話もままならない、という段階になって補聴器をつけても、だいぶ長期のリハビリ期間が必要になってしまいます。

 

 

 

例えば事故で足のどこかを骨折して入院したと仮定してみて下さい。

 

入院期間が長くなるほど筋肉は衰え、リハビリに要する期間は長くなっていくことは理解できると思います。

 

 

 

骨折した部分に金属のプレートを入れたら、その瞬間から自由に歩き回れるようになるでしょうか?

 

答えは明白ですね。

 

 

 

補聴器装用も、できるだけ早いうちから始める事で慣れるのも早くなりますし、アンチエイジングにもつながると思うのです。

 

 

 

また、「脳」が補聴器に慣れるまでは、早くても3ヶ月程度は要します。

 

「思ったほど聞こえが良くならない。」、と感じても何らおかしくありません。

 

これまで聞こえなかった、様々な環境騒音が入ってきますので、わずらわしいと感じる事もあるでしょう。

 

しかし、それらを乗り越えることで、補聴器が本当に役立つものとなっていくのです。

 

 

 

周りのご家族も、「補聴器をつけたのに聞こえていないじゃないか!」と責めるのではなく、まずは普通の声で正面から、少しゆっくり目に話しかけてあげるなどの配慮をお願いします。

 

 

 

また、難しい内容の話だったり、歯科医のようにマスクをしている方との会話は、たとえ補聴器をしていてもハードルが高いです。

 

 

 

我々は、使い始める皆様が少しでも違和感なく始められるように努めております。

 

最初の数週間で、「思ったほど聞こえない」と諦めることなく、気長に使って頂きたい。

 

 

 

私は、本当に「使う必要がない」と感じた方には、例え買う気満々であっても最初から勧めません。

 

使った方が利益になると感じているからお勧めしています。

 

 

 

ご本人が使用に前向きであるにも関わらず、

 

ご家族から「つけても聞こえていないことが何度かあった。」から役に立っていない、購入には賛成できないと言われて見送りとなった経験もあり、そのような時は自身の力量不足、伝えることの難しさを感じます。

 

 

 

「私(難聴者)の気持ちが理解できていないんだよ・・」と最後に呟いておられた方もいらっしゃいました。・・・無念ですね・・・

 

 

 

「できなかったこと」を探すのでなく、

 

「できるようになったこと」を発見することから始めませんか?